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HOME > 業務紹介 > タイ語翻訳 > タイ語誤訳の例

現在の所、タイ語の翻訳を専門に行っている会社はほとんどなく、タイ語学校や人材派遣会社が副業で行っているのが現状です。テレビで盛んに宣伝をやっている英会話学校に英語の翻訳を依頼するのをイメージすればわかりやすいかもしれません。宿題にしてしまえばコストは0ですから幾らでも安くできますが、質にムラがある事は確かです。

  そうかといって、大手の翻訳会社に頼めば安泰というわけでもありません。ここに書かれている例のように、丸投げしているだけなのかもしれません。

シリンダーのヘッド

 タイの日系工場で問題が発生した場合、タイ人の生産ライン管理者が問題点をタイ語でレポートにし、そのレポートを社内の日本語とタイ語ができる人(社内通訳者、社内翻訳者とは限りません。タイ語ができる人が社内便利屋さんとして使われる事も多いようです)が翻訳し、翻訳物を日本人の部長クラスが読んで対策を決定する事が多いです。

 ある工場で、製品に不良が多発するために、タイ人のライン管理者に原因の特定調査と、報告レポートの提出を求めました。タイ人管理者は必死の努力をし、ある特定の部品、シリンダーのヘッド部分に使われている部品、に不良が非常多いため、製品にも不良が多発している事を突き止めました。

そして、そのレポートが以下のように誤訳されたのです。

「シリンダーのヘッド部が悪い」
  ↓
「シリンダーを作成している部(セクション)のヘッド(日本人マネージャー)が悪い」

 下請け業者が納入してくる部品の品質が悪い事を突き止めた見事なレポートが、上長が悪いから不良が多発すると責任転嫁の言い訳レポートにされてしまったのです。タイ語と日本語ができる日本人がマネージャーが間に入って真の原因を突き止めるまで、日本人とタイ人の間に激しい混乱と大きな衝突が起り、円満解決にはかなりの時間とコストがかかったそうです。

 ここまで、酷い誤訳でなくとも、タイ人の理論整然とした有用なレポートが、翻訳によって論点が曖昧になり、それを読んだ日本人管理者が、レポートを書いたタイ人に悪い評価を下し、有能なタイ人が評価されない事に嫌気をさして辞める、といった事は珍しくないようです。

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触ってはいけない柱

タイの駐車場にはちょっと特殊なルールがあります。必ずしも駐車枠の中に止める必要はなく、駐車枠の外に駐車しても良いのです。

「そんな駐車枠の真ん前に止めたら枠内の車が出れなくなってしまう」と、心配になってし まうような場所にも皆平気で止めます。でも、心配ご無用。ハンドブレーキをしてはいけな いと言うルールがあるので、自分の車が出るのに邪魔な車があったら、手で押して邪魔な車 を移動させるのです。

もちろん、そんなルールを知っている外国人はいませんから、柱に注意書きが書いてありました。

タイ語で「ハンドブレーキをしないでくだい」
英語で「HANDS OFF」
日本語で「手を触れないでください」

目を疑いました。 タイ語→英語→日本語の順に翻訳されたのでしょうが、誤訳の域を完全に超えています。(写真

おそらく、駐車場の管理人は「日本人はルールを守らないなぁ〜」と怒っているかもしれま せんが、そんな事はありません。

深夜、車が来ていないことが明白な交差点でも赤信号で停止する事で有名な日本人の事ですから、柱に触るなと言われれば理由はわからなくても誰も柱には触らないでしょう。

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要求が不明なストライキ

ある日、朝刊に工場でのストライキの記事が出ていました。
ある日系企業が労働者側が交渉時にあげた10項目の要求に対して、 2項目しか回答をしなかったために、ストライキが決行されるとの事でした。

経営側が要求を突っぱねたのかと思っていたのですが、たまたまその日、その企業の関係者の方とお話する機会があり、驚くべき内情を教えていただきました。

なんと、 「労働者側が何を要求しているのか良くわからないから回答できなかった」 との事でした。

この会社は日系の1部上場企業ですので、社内通訳者を当然複数名抱えています。 通訳者の中には有名大学の日本語学科を首席で卒業した経歴を持っている人もいます。

対策を話し合う経営側会議の席で労働者側の要求文とその翻訳を見ていた現地法人社長が「あら?この訳は間違ってないか?」とタイ語勉強の成果を披露していたと自嘲気味に話しておられました。

急遽、弊社にて要求文の翻訳をお引き受けしたのですが、 この背景には通訳、翻訳の質だけではなく労働者側の要求の仕方にも問題がありました。

労働者側代表が皆の要望を取りまとめる事をせず、皆がバラバラに個々人の希望、要望、願望、欲望、お祭り気分を全て箇条書きに して会社に提出しているような状況でしたので。

いずれにしても、日頃のコミュニケーション不足の積み重ねがこういう大きなトラブルを引 き起こすんだろうな、と印象が深い一件でした。

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新しい外来語

弊社はお客様よりの直接受注だけではなく、日本の大きな翻訳会社から2次請けとしての作業を依頼される事もあります。

「何十カ国言語も対応可能です」と言う大きな翻訳会社でも、実の所、全ての言語を自社の 社員が翻訳できるわけではないのです。 マイナーな言語については、弊社のような専門性の高い翻訳会社やフリーの翻訳者を探して依頼しているようです。自社内にその言語に対応できる人間がいないため、校正は「空白の大きさがオリジナルより大きい」等、見た目レベルに留まり、基本的には仕事を丸投げしている事になります。

ある時、弊社の翻訳物ではない原稿について、校正と微修正を依頼されました。 その原稿中に、今まで見たことのない外来語が含まれていました。 タイ法人のタイ人やその分野に詳しい専門家に問い合わせても見たことがないとの話。 どうも、元々の翻訳者がちゃんと調べずに新しい外来語を造語してしまったようです。

依頼元にその事を連絡すると、 「その単語は既にお客様に提出済みの原稿に含まれてしまっているので、そのまま使ってください」 との回答でした。

その他にも、用語統一のための単語集があるのでそれを使うように指示がありましたが、 その用語集そのものが内容が不統一でした。

例えば「Webサーバー」は「サーバー」と伸ばすが、「ファイルサーバ」は「サーバ」 と止める、等々。 その点についても指摘をしたのですが、「直してくれるとありがたいが、 お金は出せない。」とのお話でした。

残念ながら現在も内容が不統一の単語集を元に翻訳が行われているようです。

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怪しい乗り物

 タイは自動車産業の拠点ですので、自動車関連の翻訳について良く依頼があります。ある時、自社で翻訳した原稿の校正をして欲しいと依頼されたのですが、その原稿は次世代の自動車の説明か思えるような凄い乗り物でした。

ガソリン、エンジンオイル、ブレーキオイル等々のオイル類は規格を統一したのか、全て 「油」を使用する事になっていました。

部品も「サドル」や「クラッチレバー」等、自転車やバイクの部品を流用して コストを下げているようでした。

森林資源の節約のためか、翻訳を完全に省略している段落が沢山ありました。

こういった酷い翻訳を乗り越えて、走る車を製造できている事は現代の奇跡に思えます。

ただ、この例のように冗談で済まされる場合はまだ良いのですが、 ほんの些細な連絡ミスから、日本で作成して輸入した金型が全く役に立たず、 300億円以上が無駄になった例もあります。 翻訳、通訳の予算については価格だけでなく、質も考慮した上でちゃんとコストをかけるべきです。発注者側が質の良さを判断できない場合、価格だけで判断するのは非常にリスクが高いです。どんな粗悪な翻訳を納品されても何もわからないわけですから。

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