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![]() むかし、ある男の人が人をひとり殺しました。そして、血のついたナイフを手にしたまま、お寺の前をとおりかかりました。本堂の前まで来ると、中国の昔話に出てくるような獅子の像が、階段のところに立っているのが目に入りました。そこで、近づいて、ナイフの刃についた血を獅子の口でふき取りながら、言いました。 さて、何かを秘密にしておくというのは、本当にむずかしいことです。誰でも何か見たり知ったりしてしまうと、他の誰かに言わずにはいられないというものです。はたして、この男もそうでした。家に帰るとすぐ、奥さんに、しゃべる石の獅子の話をして聞かせましたが、奥さんは、 奥さんは話を聞くとすぐに、母親に話して聞かせ、最後にこう言いました。 しばらくして、その母親は、誰かに話さないとどうにかなりそうで、だんなさんに話して聞かせました。そして、つぎの日の朝、そのだんなさんは友達とすわってコーヒーを飲んでいました。あれこれ話して何も話すことがなくなると、最後に娘婿が人を殺したことを話してしまいました。するととてもすっきりして、 男が誰も知らない秘密だと思っていた殺人の話は、あっという間に、町中の人が知るところとなり、男はとうとう警察に捕まってしまいました。殺人の証拠も、目撃者も、証人も何も見つかっていませんでしたが、町中の人が、男が人を殺したことを知っている、それだけでじゅうぶんでした。男は観念して、自分のしたことを白状し、牢屋に入りましたとさ。 ▲PageTop |