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天女の思いやり

空が金色に輝くある朝、鮮やかなピンク色のスカートをはいた天女が空から舞い降りて来て、楽しそうに散歩をしていました。天女はほたるほどの大きさで、ほとんど誰にも見えないほどでした。その天女はきょうこそは、絶対にお務めを果たすんだと、心に決めていました。それで、朝早くから他の天女たちといっしょに遠くまで飛んでくると、それぞれ自分が決めた方角へ散らばっていきました。

天女のお務めというのは、人間、鳥、魚、動物たち・・すべての生き物たちみんなを幸せにそして、安全に暮らせるようにすることでした。

しばらくして、天女はとてもきれいな女の子が、座って泣いてるのを見つけました。かわいそうに思って、
「どうしたの」
と天女が聞くと、
その女の子は、天女を見上げて、ぽろぽろ泣きながら、
「道に迷って、家に帰れないの」
と言います。
天女は、話を聞くと、持っていた魔法の杖で、南の方向を指し、道のとおりに帰るように言いました。しかし、女の子は、
「こわくてこわくて、ひとりでは帰れないわ。一緒についてきて。」
と言います。そこで、天女は家まで一緒に連れて行ってあげることにしました。女の子の家に着くと、その子がとても大きなうちの子どもで、その子がいなくなったと大騒ぎしているところだとわかりました。

女の子が、父親に、天女にとてもやさしくしてもらい、家まで送ってきてもらったことを話すと、その子のお父さんは、はめていたダイヤの指輪をはずして、天女に与えました。天女がどれだけ断っても、お父さんは指輪を受け取ってほしいと言ってきかないので、天女も最後には、指輪を受け取ることにして、家へ帰りました。家に着くと
天女は、自慢気に
「どれだけ断っても、指輪を受け取ってほしいと言われてしまって、しかたなかったのよ」と、女の子を助けた話を両親に聞かせました。他の天女たちもきっと喜んでくれるだろうと思いながら話しました。でもそうではありませんでした。
「恥ずかしいとは思わないの?すぐに指輪をかえしていらっしゃい。わたしたち天女は、なにかのお礼と引き換えに、人を助けるんじゃないのよ。ただ、困っている人たちに手をさしのべて、苦しみから救ってあげる。それだけなのよ!」と両親が言うと、他の天使たちもあきれたように首を振り、その場から立ち去ってしまいました。

その日の夕方、天女は、指輪を返しに行き、女の子にこう言いました。
「天女はね、困っているいる人なら誰でも助けるの。それで、何かお礼をしてもらおうなんて少しも考えないのよ。もし困っている人がいたら、気をしかっりもって、私たちのことを強く心に思って。それだけで必ず誰かが助けてくれるわ」
そして、飛んで行ってしまいましたとさ。

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