むかし、おとうさんとおかあさんとこども13人という大家族が、森に住んでいました。家はとても貧乏だったので、食べるものもなく、これ以上みんなで暮らしていけないというので、おとうさんとおかあさんは子どもたちを森へ連れて行って、おいてくることにしました。
「来年、もう少し生活が豊かになったら、必ず迎えに来るから」
と言い残して。
それから1年、お米も野菜も前の年よりよく獲れて、生活が少し楽になったふたりは、13人のこどもたちに会いたくなり、森へ探しに行きました。
けれど、何度呼んでも返事はなし。子どもたちの名前を呼びながら、さらに奥深く進んでいくと、子どもたちはやっと声に気がついて、走り出てきました。みんなおとうさんとおかあさんに会えたのがうれしくて、わんわん泣きました。
「会いたかったよ、迎えに来たから、一緒に帰ろう」
と言うおとうさんとおかあさんに
「おとうさん、おかあさん、ぼくたちを見て。一緒には帰れないよ。ぼくたち手も足も毛むくじゃらだもの・・」
とだけ言うと、子どもたちはみんな森の中へ消えていってしまいました。
これが、さるの先祖だというのですが・・・どうでしょうか。
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