ある日、モおじさんは、魚とりのかごを持って、釣りに出かけました。河べりに着くと、誰かがしかけた*もんどりを見つけました。中をのぞいてみると、魚が5匹もかかっていました。モおじさんは、
「今日はついてるぞ」と、
それを自分のカゴに流し入れました。家に帰る途中で、ガムナンさんの家の前をとおりかかったので、魚を半分ほど分けて、残りを自分の家に待って帰りました。
それからすぐに家に戻ってきたガムナンさんは、台所の外に魚がぶら下がっているのを見つけました。
「誰だか知らないが、ありがたい」とさっそく、スープにして食べました。
次の日もモおじさんは、もんどりから魚を4匹とって、半分はガムナンさんにあげました。その次の日は3匹、それも半分に分け、さらに次の日は、1匹でしたが、それも半分、ガムナンさんにあげました。
家に帰って、持ち帰った魚をさっそく料理しようとしていると、おまわりさんがもんどりの持ち主と一緒にやってきて、モおじさんはつかまってしまいました。
さて、警察に連れて行かれる途中、ガムナンさんの家の前を通りかかりました。
「どうして、こんなことをしたんだ」と聞くガムナンさんに
モおじさんは
「魚2匹半、2匹、1匹半、半分」
と繰り返すばかり。それが、ここ何日か、おいてあった魚のことだと気がついたガムナンさんは、モおじさんを助けようと、ちょっと考えて、こう言いました。
「そうだそうだ、道端においてあれば、誰でも取るさ。それで捕まってしまうのかい?」
結局、もんどりの持ち主も、モおじさんを許すことにしました。
・・・でもこれは、お話の中のこと、人のものを盗るのは決していいことではありませんよ。
*もんどり さかなを獲るための筒状のかご
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