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愛のためなら

ある村に、お金持ちの娘がいました。年頃だったのですが、どんな男の人にも興味がありませんでした。ある日、彼女にひとめぼれした若者がいましたが、とても貧乏だったので、娘の父親は気に入らず、若者に

「もし本当に娘のことが好きなら、うちの前の運河に一晩中、浸かってみせろ」
と無理難題を持ちかけました。若者は娘のことが好きだったので、言われたとおりにしました。

娘はそのことを知ると、若者がかわいそうになり、岸辺で火を焚いてあげました。若者は好きな女の人が、自分のために火を焚いてくれているのを見ると、勇気がわき、元気がでてきて、次の日の朝まで運河に浸かっていました。次の日、お金持ちの男が出てきて、若者がまだ生きているのを見つけると、びっくりして、たずねました。
「そんなに冷たい水の中で、どうやって今朝まで生き延びた?」
若者は
「お嬢さんが岸辺で火を焚いてくれたのです。それを見たら、元気が出て、体まで暖かくなって、今朝まで過ごせたのです」
お金持ちの男は、けげんそうな顔をして、
「おまえは、ずるをした、娘はやれん」と言いました。

その日の夕方、娘はご飯の用意をして、父親に持っていきました。ナムプリック(野菜をつけて食べるタレ)にいれるはずの塩は、別の器に入れて、ナムプリックを入れた器の下に置いておきました。

お金持ちの男は、ナムプリックを食べると言いました。
「どうしてナムプリックに塩を入れなかったんだ」
「入れましたよ。器の下にあったでしょ。」
「それでどうやって、ナムプリックに味がつくんだ」
それを聞くと、娘は
「じゃあ岸辺で火を焚いても、水の中にいる人が暖まるわけもありませんよね」
お金持ちの男はこれを聞いて、娘の言おうとしていることがわかり、
若者と娘の結婚を許したそうな。それからふたりは末永く、仲よく暮らしたとさ。

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