むかしむかし、怠け者の男がいました。奥さんがいるのに働きもしないで、毎日出かけて行っては、菩提樹の木に、わごむを打っては遊んでいました。奥さんは辛抱強い働きもので、けっして愚痴を言いませんでした。
ところで菩提樹には神さまが住んでいました。
ある日、怠け者がまた、菩提樹にわごむを打って遊んでいると、神さまが人に姿を変えて出てきて、たずねました。
「何か欲しいものはあるか」
「仕事もないし、何をしたらいいんだか・・。だからこうしてわごむなんか打っているのです。」
神さまは菩提樹の枝を3本折ると、言いました。
「これからは何もしなくても、食べ物が手に入ります。これを持っていって、売るだけでいいのです。」
男が枝を持って、うちへ帰ると、なんとその枝が金に変わりました。それで、男はあっという間にお金持ちになりました。
怠けものの男がお金持ちになったといううわさを聞きつけたひとりの男が
自分も!というので、例の菩提樹のところへ行って、枝を勝手に切り落としました。すると、神さまが出てきて、聞きました。
「誰の許しを得たのだ。」
「誰も」
それを聞くと、神さまは
「2度とこの木に近づくな。帰れ」と言いました。
男は、持っている枝がいつ金に変わるかとわくわくしていましたが、うちに帰ると、枝は獰猛なへびに変わり、それからというもの、いいことは何ひとつない不幸な一生を送ったということです。
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