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くまちゃんと あひるちゃん

くまのぬいぐるみとあひるのぬいぐるみは仲のいいともだちでした。お店の棚に何年もかざってあったのですが、誰にも買ってもらえず、すっかり汚れてほこりだらけになっていました。

ある日、女の子がお店に入ってきて、その2匹のぬいぐるみを気に入ったようすだったので、売り子は女の子にぬいぐるみを取って見せてあげました。ところが、2匹は買ってもらえそうなのがうれしくて、興奮してしまい、つい声をあげてしまいました。しかも、くまはあひる、あひるはくまの声を出してしまったのです。

女の子のおかあさんは、びっくりして、「なんてことなの、こんなぬいぐるみいらないわ」
とつぶやきながら、ぬいぐるみを元の場所にもどしました。

その夜、くまのぬいぐるみは、あひるをさそって、お店から逃げ出し、村の外れまでやってきました。すると、つかれたようすで、お皿を洗っているおばあさんに出会ったので、2匹は彼女を手伝うことにしました。皿洗いが終わると、お湯をわかし、家のそうじをして、おばあさんを手伝いました。

「おもちゃやにいれば、楽なのに、どうして逃げてきたの」とおばあさんがたずねましたが、2匹は心配をかけたくなかったので、ただ
「もう寝なよ、おばあさん、あとはぼくたちにまかせて」
とだけ言いました。
おばあさんは2ひきのぬいぐるみに感激し、2匹の願いごとがなんでもかないますようにと祈りました

その夜、2匹はくたくたになって店に戻り、もとの場所になんとかよじ登り、棚にもたれかかるとすぐ、ぐっすり眠ってしまいました。
次の日、このあいだの女の子がまた店にやってきて、ぐるっと店の中を見わたしたあと、くまとあひるの前で立ち止まりました。手でぬいぐるみのからだの横のボタンをさわりながら、もういちど声を出させようとしていましたが、今度は2匹が声を出しても、
「これはおもしろいわ。かわったぬいぐるみ」
と楽しそうに笑い、すっかり気に入ってしまいました。
「このぬいぐるみをくださいな」

店の人はやっとぬいぐるみが売れてよろこびました。もちろん、くまとあひるはこれからあたらしい家で暮らせると思うと、それはよろこびました。そして、これもきっとおばあさんがお願いしてくれたおかげだと思い、いつか絶対会いに行こうと誓うのでした。

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