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![]() あるところに鬼が1匹いました。鬼は、下に川が流れる険しい山の洞窟に住んでいました。それはもう凶暴な鬼で、近くの村に住む人々はいつもひどいめに遭わされていましたが、誰も立ち向かうものはいませんでした。 そんなとき、困った村の人たちをみかねたすっぽんが1匹、名乗りを上げました。そして、ワニとかにとさそりに声をかけました。 ところが、さそりは、 「どうやって、鬼と戦うんだよ。俺たちはこんなにちっちゃいのに」 とおじけづきます。 すっぽんは 「絶対勝ってやる!と思うんだ。それだけでもう半分勝ったようなものさ」とみんなを励ましました。 とうとう村の人々のために、みんなで鬼退治に出かけることに話がまとまり、鬼の住む洞窟に向かいました。夜になると鬼は食べものを探しに出かけました。4匹は一致団結し、すっぽんの考えた作戦通り、かには鬼のベッドに、さそりはマッチ箱の中に、ワニは洞窟の前の水の中に、すっぽん自身は洞窟の入り口に、石を転がしておいて、鬼が帰ってくるのを待ちました。 準備万端、待ち構えていると、鬼が帰ってきました。鬼は洞窟のうらから入ってきて、ベッドに向かいました。 そこへ、かにがはさみで鬼の指を「チョキン」。 薄暗い部屋に明かりを灯そうと、マッチ箱に手を伸ばしたところを、 今度はさそりが「チクッ」。 あわてて洞窟の外に逃げ出した鬼は、すっぽんが置いておいた石につまづいて、「ドーン」。 転んだ鬼はそのままワニの待つ水へ「ザブーン」。 ワニの口にくわえられた鬼は、じたばたもがき、命からがらワニの口から逃げ出すと、おいおい泣きながら去っていきました。それからもう2度と戻ってこなかったそうです。 すっぽんとかにとさそりとワニは、やったやったと大喜び。村の人々も悪い鬼がいなくなって、しあわせに暮らしましたとさ。 ▲PageTop |