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ブタに真珠

あるところにものしりの先生がいました。先生のところにはたくさんの弟子がいました。弟子たちはみな修行を終えると、先生のもとを離れて立派に仕事をしていました。ところが、ひとりだけ、できの悪い弟子がいて、どれだけ勉強しても、字ひとつ満足におぼえられないほどでした。そこで、先生はその弟子を呼んで、言いました。

「おまえにいいものをやろう。」

それを聞いて喜ぶ弟子に、先生はさらに言いました。
「明日は、陰暦14日。とてもいい日だ。夜の12時になったら、スープを温め、アツアツをお椀にいれなさい。そして寺の裏の森へ行きなさい。お化けたちが、スープをくれといってくるだろうが、森の真ん中へ行って、プーパーに会うまでは、誰にもやってはならんぞ。いいか、プーパーは白い布をまとっていて、手首に金のブレスレットをしている。猫が手招きするように、プーパーがブレスレットとスープを交換してくれと言ってくるはずだからな。いいか、絶対にプーパーの顔を見てはならんぞ。」

次の日、弟子が先生に言われたとおりにすると、本当にプーパーが出てきたので、金のブレスレットとスープを交換しました。帰り道もお化けたちが後をついてくるので、弟子は恐ろしくて恐ろしくて、先生の名を叫びながら、走って逃げました。やっとお寺の近くまで来ると、先生が、弟子にお堂に入るように言い、魔除けの糸を首に巻いてくれました。それで、お化けたちはやっと帰っていきました

弟子は先生にブレスレットを見せると、腕にはめました。
「おまえはすばらしいものを手に入れたんだぞ」
と先生は言いました。

それからというもの、弟子は人の目には見えなくなってしまいました。透明人間になったのです。弟子は自分が誰にも見えないと知ると、それをいいことに、夜になると、誰かれかまわず、女の人を見つけては乱暴するようになりました。困った村の人々は、集まって相談しました。

ある夜、村の女の人たちはみんな一軒の家に集まっていました。戸を開けたままにし、縁側のところには、男がふたり。ひとりは剣を、ひとりはナイフを手に、悪者がきたら、床板がぎしぎしいうのを合図に、一気にしとめようと潜んでいました。

さて、夜中の12時近くなると、弟子がやってきました。想像通り、床板がぎしぎし音を立てたので、2人の男は、剣とナイフをピタリと合わせて、弟子を捕らえました。そしてとうとう、弟子は殺されてしまいました。といっても、弟子はブレスレットをはめたままでしたので、姿は確認できませんでしたが。

それから何日かして、弟子の死体は日に日にひどい臭いを放つようになりました。こうして弟子の死は先生の知るところとなり、先生は言いました。
「概して 私たちは、すばらしいものを手に入れても扱い方を知らないものよ。使い方をひとつまちがえると、取り返しのつかないことになるということを肝に銘じておかねばならないぞ。」

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