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ムーンと金のがちょう

むかしむかし、ひとりの木こりが森に小屋を建てて住んでいました。木こりには息子が2人いましたが、木こりは下の子をあまりかわいがっていませんでした。下の息子はみんなから、「ムーン」と呼ばれ、人と話すのがきらいで、いつも黙々と働いていました。ムーンはひとりでいるのが好きだったのです。

ある日、いつも怠け者の上の子が何を思ったか、父親の仕事を手伝いたいと言うので、木こりは喜んで、弁当にガイ・ヤーン(チキンの焼いたもの)と大きなデザートを持たせてやりました。上の子が木を切っていると、小人が木の影から出てきて言いました。
「何か飲むものと食べるものを分けてくれませんか」
すると上の子は
「おまえにやるものなんか何もないぞ。あっちへ行け」
と言って、向こうへ行き、一人で持ってきたものを食べました。

次の日、ムーンが、自分も木を切りにいきたいと言い出しましたが、木こりは、ムーンの顔をちらっと見ると、ばかにしたように、
「おまえみたいのが、木を切るって言うのか。まったく何を考えてるんだ。」
と言い放ちました。しかし最後には、ムーンが森に行くことを許して、水ともち米だけ持たせてやりました。ムーンが作業場に着くと、上の子のときと同じように、おなかをすかせた小人が出てきて、言いました。
「おなかがすいて、死にそうだ。どうか食べものを分けてください。」
ムーンは答えました。
「何かおいしいものをあげたいけど、あるのは水ともち米だけだよ。それでもよかったら、どうぞ。」
小人はなにも言わず、だまって手を差し出しました。すると、なんと水ともち米が、ガイヤーンと大きなデザートに変わりました。そして食べ終わると、
「ありがとうな。おなかいっぱい食べたら、あの木を切ってみなされ。そこで見つけたものは何でも持って帰っていいから。」
とだけ言うと、森の中に消えていってしまいました。

さて、ムーンはご飯を食べ終わると、小人に言われたとおりに、木を切ってみました。

すると、そこには、ピカピカの羽をしたがちょうがちょこんと座っているではありませんか。ムーンはそれを抱いて家に帰ることにしました。

ムーンは家に帰る途中で、女の子に出会いました。その子は、ぴかぴか光るがちょうの羽を見ると、たまらなくほしくなって、引っぱってとろうとしました。すると、どうしたことでしょう。女の子の手が、ぴたりとくっついてはなれなくなってしまったのです。ムーンについて行ってしまう女の子を見て、その子のお母さんはもうびっくり。女の子の手を振りほどこうとしたら、今度はなんと、お母さんの手がぴたり。
こうして、みんなくっついたまま、お城の前をとおりかかりました。そこへちょうど出てきた王女ティダーは、ムーンたちを見て大笑い。ケラケラケラケラ笑いがとまりませんでした。生まれてから一度も笑ったことのない王女が笑っているのを見た王様は大喜び。ムーンを王女と結婚させ、お城を与えて住まわせることにしました。

ムーンはといえば、お父さんとお兄さんのことを忘れず、ふたりを迎えに行き、みんなで幸せに暮らしましたとさ。

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