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米撒きの儀式

村では米撒きは結婚の大切な儀式のひとつとされていました。昔は、結婚するときには、新郎側が米を持って、新婦の家に持って行き、結納の品として納めて、一緒にごはんを食べることになっていました。それは、2人がこれからの一生を、いっしょに過ごしていくことを意味していたのです。その後、ふたりは米を撒くのですが、それは、悪霊を追い払い、災いから2人を守ってくれるという意味もありました。

ある日、結婚式がとり行われ、僧侶のお経も終わりました。皿には悪霊たちへのごちそうの他に、栓を抜いたお酒も用意されていました。宴会が始まると、悪霊のひとりが仲間の悪霊たちに酒をふるまい始め、飲めや歌え、歌えや踊れの大騒ぎを始めました。悪霊たちがさらに集まってくると、一人の悪霊が言いました。

「このうちは狭苦しくないか?」
「そんなことないぞ」と他の悪霊。
「おまえたちがでかいから、うちを狭くしてるんじゃないか!」と別の悪霊。 
ほとんどの悪霊たちは口々に、すばらしいもてなしだとほめそやしましたが、中にべろべろに酔っ払った悪霊が暴れ出し始めました。悪霊たちを追い払って、家を守るはずの、守護神たちの手にはとても負えず、みんな困ってしまいました。

さて、祝いの儀式の時間になって、一同が集まり、結婚する2人はみんなにお礼の挨拶をして回りました。お母さんは両手で米をかき混ぜた後、一つかみすると、家の周りにばら撒きました。宴会を楽しんでいた悪霊たちは、米をぶつけられると、
「いたい、いたい」
とおいおい泣いて、他の悪霊たちも仲間が痛がっているのを見て、
「こりゃたまらん」
と、あたふた逃げていきました。家の守護神がふたり、戸の裏に潜んでいましたが、
「あいつらみんな、追っ払われちまったぞ。もう家の近くにはいない」と、そのうちのひとりがつぶやきました。
「で、私たちも出て行ったほうがいいの?」
「いいや、私たちは守り神だ。ここにずっーと残るんだ。」
「さあ悪霊たちは追い払ったわ。おめでとう。ふたりともずっと仲良く、年を取るまで、いつまでもいつまでも幸せにね。」
とお母さんはうれしそうに言いました。

悪霊がひとり逃げ遅れて、米俵のところに隠れて、どうしたものかと困っていましたが、廊下からそっと外へ抜け出し、仲間の後を追って、飛んで行きましたとさ。

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